平凡社から出ている宮本隆司氏の九龍城砦の写真集を買った。長年というほど長くはないが、ずっとほしかった本である。いままで見つけたものは痛みがひどいものばかりであったが、偶然にカバーが痛んでいるだけのモノに巡りあったため。珍しいなと思ったら、今年の一月の再版であった。この人の写真を始めてみたのは震災の時のもので。ものをものとして撮っている感が、静かで、気になった。気に入ることなど、できない写真であるから。この写真集はまるで、生きたまま、死んでいる、建ったまま、倒壊している、建物たちが、写っている。
乱雑さの中にある、奥行きが、とても、濃い。