晴れ→夕立→晴れ→?


ヤマザキヨシトは幼少期を瀬戸内海に面する町で過ごした。
その町は海と山との間に出来た漁村が進化したものだった。目の前には海。海岸から100mも歩けば山が迫っていた。
夏になれば、棄てられた魚が腐臭を漂わせた。対岸にある造船所では高度経済成長に支えられてひっきりなしに黒鉛を上げていた。
その頃のヤマザキヨシトはまだダンスを踊っておらず、海や山で遊んだり、漁船に乗って漁の手伝いをしたりしていた。
ヤマザキヨシトは海が好きだった。
海の上でヤマザキヨシトは色々なものを見た。
海から昇る太陽。黒い影のような鰯の群れ。空を滑空するカモメ。
それらは全て陸にいる時には見る事が出来ないものであるようだった。
その頃のヤマザキヨシトが学校の机に書いた詩が残っている。
「夜行列車」
 夢の中でのドロップキック
 君が感じた脳震盪
 二人に生まれた哀ラブホテル
 ビール片手の未来図(I Love You)
 口から出たのは映画の台詞
 殴り飛ばさた俺の頬
 そんな展開(よてい)じゃなかったのに
ヤマザキヨシトはこの頃から才能の片鱗を見せていた。