東京生活

左斜め前方にラスボスの気配あり
おけ
やばい気付かれた!?ペンだしたきっとあれで撲殺される…勝てる気がしない…
あの耳に付いているイヤリングはきっと魔力増幅系だし、あの緑で無駄に自然味溢れる上着はきっとMP回復系だし、あの顔に刻まれた皺はきっと300歳を超えるであろう年令を示してるし!それでドピンクのカバンから取り出したあのペンで殴られた日には瞬殺ですよ。マジで!
立った!あの太い足で立ったよ!
やばい臭すぎる…デフォルトで嗅覚を破壊してくる香水着用だ…もうダメだ…
東京は恐ろしいところです…
新宿のさぼてん。つまりは、KYKみたいなところ。
クボタ似の店員の店員が爽やかに応対。なんか妙にあれであれ。明るい。ガテン系
俺は腹が減っていたために極上ロースを注文。
言った瞬間に「おっ!極上ですか!ありがとうございますっ!」
いや、おい。その反応どうよお前?
そんなに極上はでないのか?極上はそんなに微妙なのか?それともそんなに極上お勧めか?
そう突っ込みながら、極上を待つ。
そもそも極上ってなんだ?極上だぜ?よしきた。極上。
確かにこの豚は極上だ。うまい。油ギッシュ!夏バテに卒倒しそうな俺の胃に染み込む響き渡る湧き上がる。
そして、進む飯。キャベツ。その瞬間に極上の極上たるゆえんが発動した。
「おっ!お代わりいっときますか?大盛り?大盛り?」
クボタが近づいてきて店の雰囲気に微妙に合わないフランクな乗りで効いてくる。
そして大盛りを頼む俺。
大盛りが来るまでの間にも別の店員にまでお代わりを進められる。
どれだけ食わせたいのですかこの店は?
間髪入れぬお代わり攻撃。
それはキャベツにまで及ぶ。
俺が食い終わったキャベツに有無を言わさず笑顔で追加されるキャベツ。
なんだこれは。そう、これはあれだ。アキレスと亀のパラドクスのようだ。
どれだけ食べても終わらない食事。
俺は極上を舐めていた。
極上だ。そう、この接客は極上だ。
極上の極は地獄の獄だ。極上の上は上限の上だ。
その結果として。
敗北。
食事を放り出してトイレに走る俺。
限界を叫ぶ胃。
さようなら。さようなら。さようなら。
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